超低速でいかに車体を操ることができるか
白バイ隊員は、日本でトップクラスのバイク運転技術を持っていると言っても良いでしょう。
様々なドライブテクニックを網羅的に極めている白バイ隊員ですが、特に重点を置いているのが、スピードを落としたときの車体のコントロールスキルです。
前に進む力を利用して車体をまっすぐに保っているバイクは、スピードが落ちれば落ちるほど姿勢を維持することが困難になります。
しかし白バイ隊員は、狭い路地の走行や歩行者・車の誘導などを行わなければいけないため、超低速での運転は必須スキルなのです。
しかもそれを300kg近くある巨大な白バイで行わなければいけないので、生半可なテクニックでは上手くいきません。
リアブレーキのコントロールが超低速運転のカギ
白バイ隊員が超低速で走る際に利用しているのが、リアブレーキです。
リアブレーキとは後輪に作用するブレーキで、右足で操作できます。
一般のライダーには力の加減が難しいため、リアブレーキではなく制動力の高いフロントブレーキを使うという人が多いです。
しかし超低速運転ではリアブレーキの弱い制動力をコントロールしなければいけません。
素人目では作動させているかどうか分からないくらいの角度でリアブレーキを操作し、あとはクラッチとアクセルを連携させて、ブレることのない超低速運転を可能にしているのです。
白バイ隊員の独自の運転技術
白バイ隊員にのみ見られる運転テクニックは、多くあります。
白バイ隊員は単にバイクを使って移動するだけでなく、交通指導や違反車の取り締まりなどの特殊な状況での走行も行わなければいけないからです。
一般に自動車学校で教えてもらえるテクニックとは、大きく異なる場合があります。
代表的なテクニックが、Uターンです。
白バイのUターンは、競技大会では小道路旋回とよばれます。
300kgのボディーを持つ大型バイクで、片道1車線の範囲を素早く180度回らなければいけません。
目立った特徴は「足着きターン」です。
Uターンする際に、右足を突き出し、地面を蹴って勢いをコントロールします。
その際、右足をペダルから離さなければいけないためリアブレーキが使えません。
そのために、スピード調整はクラッチを使います。
基本的に回転数を上げた状態で半クラッチを当てたまま旋回します。
また、発進直後に後ろから来る車と接触してしまうのを避けるため、後方確認も怠りません。
特に違反車を取り締まるために緊急発進する際は少なからず焦っているし、さらに状況によっては逆走しなければいけないこともあります。
そのような場合でも、常に冷静に安全を確認する技術を訓練の過程で身に付けるのです。